せんぐう館レポート

せんぐう館では年間多くのイベントを企画・実施しています。その内容について講義の概要と企画に参加いただいた皆様の感想を交えて紹介します。伊勢参宮により深い感動を与える当館の活動を知っていただくきっかけとなれば幸いです。

企画展示「参宮みやげ」資料紹介「二見焼釣瓶花入」

最終更新日:平成25年10月12日07時30分

せんぐう館第8展示室で開催している企画展示「参宮みやげ」から展示資料を紹介いたします。

図版は清水石仙(しみずせきせん)作の二見焼(ふたみやき)釣瓶花入(つるべはないれ)です。

朱泥(しゅでい)の赤みを帯びた地肌に神宮古印と蟹(かに)を刃物で刻んで描かれています。神宮古印は平安時代に鋳造された古印の印影を模して「内宮政印」「豊受宮印」と刻まれています。釣瓶(つるべ)の底部には「石仙(せきせん)刀」の字が刻まれています。

清水石仙は大正3年(1914)6月22日、岐阜県赤坂(大垣市赤坂町)の清水石僊(せきせん)の長男として生まれる。父より陶芸を学び、石仙は造形・絵画に優れていました。特に呂洞賓(りょどうひん)図・四睡(しすい)図・寒山拾得(かんざんじっとく)・虎渓三笑(こけいさんしょう)図などの禅機画(ぜんきが)を朱泥(しゅでい)茶器に彫刻した作品があります。明治40年(1907)に二見に移り住んで開窯。二見焼の作品は、全国からの参宮者が宿泊した二見浦(ふたみうら)の旅館街でみやげ物として販売されました。石仙(二代)は昭和14年(1939)に64歳で亡くなっています。その後、三代石仙(せきせん)が後を継ぎましたが昭和18年頃に廃窯しました。

企画展示「参宮みやげ」の図録をPDF版で作成しました。

「今月の展示・催し物」もしくは「年間スケジュール」からご覧ください。

企画展示「参宮みやげ」資料紹介「御絵付茶碗」

最終更新日:平成25年10月11日13時08分

せんぐう館第8展示室で開催している企画展示「参宮みやげ」から展示資料を紹介いたします。

図版は今村仙風(いまむらせんぷう)作の「御絵付茶碗(おんえつけちゃわん)」です。

 

茶碗は軟質の施釉陶器で、手で成形する「手捏(てづく)ね」と呼ばれる手法で作られています。北白川房子(きたしらかわふさこ)祭主(さいしゅ)が茶碗の見込(みこみ)に松葉、胴部に松が枝を絵付けされています。
茶碗はほぼ均等な厚みをもたせてたんねんに削り上げています。総体に掛けられた白釉(はくゆう)はよく溶けて光沢があります。腰をやや高く上げて、丸味をもって大らかに広がっています。口部はわずかに抱え込まれており、口縁には起伏をつけています。高台脇には「仙風作」とヘラ書きがあり、平らな畳付きには目跡は見られません。

昭和30年、神宮如雪園(じょせつえん:現神宮会館)に「神宮窯(じんぐうがま)」を創窯。今村仙風はその初代陶工として迎えられ、神宮の記念品を製作。作陶4年して病で退職しますが、病癒えて再び「おいせ窯」の名で自営の窯を始めて参宮みやげを作っています。

企画展示「参宮みやげ」資料紹介「宇治橋擬宝珠香合」

最終更新日:平成25年10月7日11時01分

せんぐう館第8展示室で開催している企画展示「参宮みやげ」から展示資料を紹介いたします。

図版は坂口晴風(さかぐちせいふう)刻の「宇治橋擬宝珠香合(うじばしぎぼしこうごう)」です。

昭和24年(1949)宇治橋渡始式が執り行われており、

坂口晴風は昭和4年に造られた宇治橋桧材で宇治橋擬宝珠を模した香合を作りました。

香合には実物さながらに「御裳裾川 御橋 天照皇大神 元和五年己未 奉行 丹波守 源直信」と

銘文を刻んで、続きに「田丸住 晴風作」と作者が刻んでいます。

香合の箱は御山杉(みやますぎ)で作られており、箱蓋には「宇治橋の古材を以て造る 篤麿(花押)」と

高倉篤麿神宮大宮司が識書しています。 

企画展示「参宮みやげ」の図録はPDF版でプリントアウトできます。

「今月の展示・催し物」もしくは「年間スケジュール」からご覧ください。

企画展示「参宮みやげ」資料紹介「間の山振舞茶碗」

最終更新日:平成25年10月4日12時09分

せんぐう館第8展示室で開催している企画展示「参宮みやげ」から展示資料を紹介いたします。

図版は「間の山振舞茶碗(あいのやまふるまいちゃわん」です。

茶碗は見込(みこみ)に「振舞茶(ふるまいちゃ)」と見られるように、伊勢参宮街道沿いで、参宮者に茶を振る舞う際に使われました。

伊勢音頭の一節に「伊勢に行きたい、伊勢路が見たい、せめて一生に一度でも」とあります。伊勢神宮の参拝が目的であることは言うまでもありませんが、「伊勢路が見たい」の言葉には、参宮街道で伊勢の人々による歓待を受けたい、おもてなしされたいという気持ちが盛り込まれています。伊勢路・参宮街道での伊勢の人々による「おもてなし」が全国からの参拝者にとっては「みやげ」でした。展示されている「振舞茶碗」は、参拝者と伊勢で出迎えた人々を結びつけるものです。

 

茶碗の胴部には「両宮間の山(りょうくうあいのやま)」と書かれています。「間の山」は内宮の鳥居前町である宇治(うじ)と外宮鳥居前町である山田(やまだ)の間にある山を指した名称です。現在の小田橋(おだのはし)から、伊勢神宮のお札を奉製(ほうせい)している頒布部(はんぷぶ)がある牛谷坂(うしたにざか)までの丘陵を指します。

企画展示「参宮みやげ」資料紹介「擬革紙煙草入」

最終更新日:平成25年09月30日07時30分

せんぐう館第8展示室で開催している企画展示「参宮みやげ」から

展示資料を紹介いたします。

図版は「三忠(さんちゅう)」の擬革紙(ぎかくし)煙草入(たばこいれ)です。

 貞享元年(1684)、三島屋(みしまや)の堀木忠次郎(ほりきちゅうじろう)は参宮街道を行く参拝者の為に、革に似た風合いを持つ油紙(あぶらがみ)に改良した擬革紙を考案し、煙草入(たばこいれ)にしました。
 その後明治に入って、三忠の堀木忠太郎は金唐革(きんからかわ)に変わる金唐紙(きんからかみ)を生産し、内国勧業博覧会・パリ・バルセロナ・ロンドン・セントルイス・シカゴなどの万国博覧会に出展。明治33年(1900)のパリ万博では金賞を得てヨーロッパ・アメリカの宮殿・市庁舎の部屋壁紙として使用されました。
 現在、後裔となる堀木茂氏は三重県度会郡玉城町を中心とする「参宮ブランド擬革紙の会」と共に、擬革紙(ぎかくし)の加工技術を再現、煙草入や財布・名刺入れなどを作って参宮みやげを現代によみがえらせています。
 「参宮ブランド擬革紙の会」の擬革紙は本年9月6日、三重県の伝統工芸品に認定されました。

企画展示「参宮みやげ」 資料紹介「桑名薄盆」

最終更新日:平成25年09月29日12時08分

 

せんぐう館第8展示室で開催している企画展示「参宮みやげ」から展示資料を紹介いたします。

図版は「桑名薄盆(くわなうすぼん)」です。

 海路(かいろ)で伊勢参宮すると伊勢国の入り口になるのが、港のある桑名です。桑名には伊勢国の海の玄関口として「伊勢国一の鳥居」が建てられ、昭和4年式年遷宮(第58回)からは内宮の宇治橋鳥居(外側)の古材で建てられています。

 桑名盆は松平定信(まつだいらさだのぶ)が野菜・根菜を食べるほどの質素倹約に努める意味を持たせて、谷文晁(たにぶんちょう)に蕪(かぶら)の絵を描かせた桑名盆を将軍家に献上しました。この事が評判となり、蕪の絵が描かれた会席膳や菓子盆が数多く作られて、桑名盆は伊勢参宮のみやげになりました。

『久波奈名所図会(くわなめいしょずえ)』にはオランダ人が桑名盆を買い求めている挿絵があり、日本のみやげとしても喜ばれました。

 現在、山本翠松(やまもとすいしょう)氏は桑名藩御用塗師(ぬし)を勤めた小川輿六の小川家を伯父方として、その6代にあたり、江戸時代以来の「イジイジ塗桑名盆」の姿を再現製作し、三重県指定伝統工芸品となり、その技術と技法を守り伝えています。

平成25年9月 企画展示「参宮みやげ」展示ガイドを行いました

最終更新日:平成25年09月28日14時25分

9月28日 展示室8で開催中の企画展示「参宮みやげ」の展示ガイドをしました。

「みやげ」の語源は、お伊勢まいりの帰路に神宮の神札や暦を持ち帰ったことがその始まりとされています。

また多くの参拝者を迎え入れるために、様々な振る舞いがなされてきました。

伊勢の人々と参拝者の願いが高じてが「伊勢の工芸」ともいうべき品が数多く表れています。

その一端を伝える為に、今後も毎週土曜日に開催してまいります。

次回は10月12日に開催します

企画展示「参宮みやげ」資料紹介「五十鈴焼水碗形茶碗」

最終更新日:平成25年09月28日13時41分

せんぐう館第8展示室で開催している企画展示「参宮みやげ」から

展示資料を紹介いたします。

図版は森下木二作、五十鈴焼(いすずやき)の水碗形茶碗「神路山(かみじやま)」です。

茶碗は伊勢神宮のおまつりで、神様に捧げられる御水(おんみず)を注ぐ土器を模したものです。

茶碗は大正7年(1918)、祇園新地甲部歌舞練場の第50回都踊(みやこおどり)の記念として

「五十鈴の調(いすずのしらべ)」を開催され、その記念品として作られました。

三室戸和光(みむろどまさみつ)神宮大宮司が「五十鈴川水にうつれるかげにさへ清くもみゆる杉のむらたち」と和歌を

寄せて、茶碗の胴部には竹内栖鳳(たけうちせいほう)が描いた神苑の杉(元絵)が描かれています。

茶碗の銘は裏千家13代圓能斎鉄中(えんのうさいてつちゅう)が皇大神宮(内宮)の山「神路山(かみじやま)」と

付けています。

 

 

 

企画展示「参宮みやげ」資料紹介「伊勢根付草鞋に蝦蟇」

最終更新日:平成25年09月27日07時53分

せんぐう館第8展示室で開催している企画展示「参宮みやげ」から

展示資料を紹介いたします。

初代正直(まさなお):鈴木正直作の根付です。

彫刻の伊勢根付(いせねつけ)は、全国からの伊勢神宮参拝者が無事に国元(くにもと)へ

帰られるようにとの祈りを込めて蛙(かえる=帰る)を彫りました。

皇大神宮(内宮)にほど近い朝熊(あさま)の黄楊(つげ)を用いており、

精緻を極めた彫りで草鞋(わらじ)と蛙(かえる)が表されています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

企画展示「参宮みやげ」資料紹介「神宮窯暦手茶碗」

最終更新日:平成25年09月26日11時25分

せんぐう館第8展示室で開催している企画展示「参宮みやげ」から

展示資料を紹介いたします。

資料は今村仙風(いまむらせんぷう)作の暦手茶碗(こよみでちゃわん)です。

寛政11年(1799)の伊勢暦(いせごよみ)を茶碗の胴部に描いています。

寛政11年には、12月19日に内宮の宇治橋の守り神をまつっている橋姫神社(はしひめじんじゃ)の

新殿還座(しんでんかんざ)。同月21日には宇治橋の造替竣工(ぞうたいしゅんこう)して、

宇治橋渡始式(うじばしわたりはじめしき)が執り行われています。

この暦手茶碗(こよみで)は、昭和24年(1949)式年遷宮は延引(えんいん)されましたが、

その中で行われた11月3日の宇治橋渡始式(うじばしわたりはじめしき)を記念して作られました。

今村仙風は昭和30年、神宮如雪園(現神宮会館)に創られた「神宮窯(じんぐうがま)」の初代陶工を勤めて、

伊勢神宮の記念品を作陶し、また自身の窯「おいせ窯」を営んで、参宮みやげを作りました。