特集二
遷宮シアター ―神宮の今を伝える―
公開日 令和7年12月26日 最終更新日 令和7年12月26日
せんぐう館では、二百インチの大型スクリーンに映像資料を投影して神宮や式年遷宮のことを紹介する遷宮シアターを運用しています。
当館の映像資料は全部で十二本あり、一時間に四本を選び出して番組を編成し、神宮の祭典と行事にあわせて最新情報を発信しています。
映像資料の内容は、神宮の最重儀である神嘗祭(かんなめさい)や日々行われている日別朝夕大御饌祭(ひごとあさゆうおおみけさい)といった祭祀(さいし)のこと、式年遷宮(しきねんせんぐう)に関わる社殿の造営(ぞうえい)や御装束神宝(おんしょうぞくしんぽう)の製作技術のこと、そして神々に捧げられる神饌が御料地で育まれ自給自足していることなど多岐にわたります。
一般的に博物館で展示されている資料の解説は、文化財を丹念に調査・分析した研究者の考証を言語化したものです。そして言語だけでは伝えることができない情報を、視聴覚的な手法で理解に導く手助けとするのが映像の役割です。
遷宮シアターで上映している映像資料は、せんぐう館でしか観ることができません。現在では映像資料を動画配信サイトなどで一般に公開している博物館も増えておりますが、当館では神宮や式年遷宮の概要をわかりやすく伝え、館内の展示への理解をより深めていただくための重要な役割を担う資料として位置づけています。そのため過剰な演出を控え、記録性の高い内容となっています。
遷宮元年となる令和7年、神宮の宮域林(きゅういきりん)で行われているヒノキの育成に関する映像資料を新たに制作しました。200年の森林計画に基づき神宮司庁営林部が年間を通して行っている山の営みの記録を中心に、先日執り行われた御杣始祭(みそまはじめさい)や神宮の豊かな自然の映像を織り交ぜて構成しています。
令和6年夏から営林部職員の指導の下、当館職員が山へ入って取材を行い、構想から完成までに1年半の時間を要しました。実際の営林作業とそこに従事する職員と接し、日々木と向き合うひたむきな姿を目の当たりにしましたが、普段では知り得ない命がけの作業の連続でした。神様の森を育む営みは、神宮と式年遷宮の未来を託された200年単位の務めであって、宮域林には別の時間軸があることを感じました。
宮域林でのヒノキの育成は、式年遷宮御用材の永続的確保はもとより、環境の保全と五十鈴川の水源の涵養、そして神様の大切なお供えとなる御料地での豊かな恵をもたらす水を育んでいるといった側面もあります。これは「国土の豊かな恵みに感謝の祈りを捧げる」という映像資料に共通するテーマであり、神宮の営みの全てに通じる根幹でもあります。
せんぐう館にご来館の際は、遷宮シアターをぜひともご鑑賞いただき、より多くの学びの機会を得ていただきたく思います。
